翌朝、列車はニューデリーの駅に到着。実際列車のチケットが買えるかどうか分からなかったので途中、「俺達、本当に日本に帰れるのか?インド人決定か?」などと思っていたのだけど、どうにかこうにかインド人にならないでいいみたい。早朝の朝日がとても清々しい。
駅を出てコンノートプレイスにある、宿に決める。しかし、この時のノリさんの体調は、微熱が続いて腹も壊しぎみだった。まあ、インドに来たらこれぐらいの病気は誰でもかかるものらしいし、マラリアやB型カイエンでさえインドでは日常的なものらしいからな。それにしても、何か今の自分がまるで夢でも見ている気分だ。楽しい悪夢だ。ここは現実なのだろうか…。
一方、相棒のベンちゃんは俺と一緒に行動しているにもかかわらず、健康そのもの。ガンガーの水さえ飲んだと言うのに。すでに体がインド化しているのだろうか…。
幸か不幸か、
いよいよ、帰る時がやってきた。ノリさんとベンちゃんはチケット制のオートリクシャーに乗り込み、空港まで移動する。空港が見えてくると突然リクシャーは道端に停車し、「これ以上行くには追加料金が必要だ」とほざきやがった。
最後の最後までこの調子かよ。オレ達はチケット持ってるんだ、いいからとっとと進め!
無事に空港のロビーに着くと、そこには見覚えのある日本人がいた。そう、この人はオレ達がカルカッタに着いた時に、空港で出会った人だった。話を聞いてみると、彼もオレ達と同じようなルート、そして同じような日程で旅をしてきたようだ。
最初に彼を見たときは、髭面でかなり旅なれているかのように見えたのだけど…、実際は違ったみたい。彼はまるでうなされるようにボラレた話や、だまされた話を繰り返し、怒り心頭と人間不信に陥ってしまい、インド人だけは絶対信用できない、などとブツブツと愚痴っていた…。
人はインドを訪れると、大のインド好きになるか2度と来たくなくなるかのどちらかに分かれると言われるが、どうやら彼は後者の方だったみたいね(笑)。可愛そうに(笑)。
やがて搭乗時刻となり、俺達は手荷物の検査を受けると、空港職員は無表情のまま「金をよこせ!!」と賄賂を要求してきた。やっぱりここはインドだ。インド嫌いになってしまった彼にとっては、最後のトドメを刺してしまったことになるだろう(笑)。
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